1. 授業の目的
本講座は、「Cinema4D」の基礎操作から始まり、ライティングや影の演出、ラインアニメーション手法などを通して3DCG表現の基盤を固めつつ、MoGraph機能やカメラワーク、最新のレンダーエンジン(Redshift/Octane)の基礎を学びます。最終的には観客視点とプロジェクター視点を考慮したカメラ設計やライティングを行い、MadMapperを用いた実機投影に挑戦し、海外コンペへの参加方法も視野に入れた発表形式を体験します。
- 将来の役立ちポイント:
- Cinema4Dやプロジェクションマッピング技術は、イベント演出・広告・映像制作・舞台美術など幅広い領域で需要が高まっています。
- 最新レンダーエンジン(Redshift/Octane)の基礎を押さえることで、業界標準のリアルタイム / ハイクオリティ映像制作へスムーズに対応できます。
- 海外コンペティションを目指すことで、自作品を国内外に発信し、キャリア形成やクリエイティブスキルアップの機会を得られます。
2. 到達目標
- Cinema4Dの基本操作の習得
- モデリング、ライティング、カメラ、レンダリングなど、3DCG制作の基礎フローを理解し、自在に扱えるようになる。
- ラインアニメーションやMoGraph機能を用いた表現力
- シンプルなライン表現からパラメトリックなクローン配置まで、発想を活かしたアニメーションを構築できる。
- 最新レンダーエンジンの基礎把握
- RedshiftやOctaneなどのレンダーエンジンの設定や特徴を学び、高品質なレンダリングを可能にする。
- 観客視点・プロジェクター視点を意識したシミュレーション手法
- カメラやライティングを実空間の投影に合わせて設計し、歪みや影の違和感を最小限に抑える方法を習得。
- MadMapper実機投影と海外コンペティションへの応用
- 作成した映像をMadMapperでワーピング・マスキングし、投影オブジェクトへの表示を実践。
- 海外コンペ応募の基本フローを知り、自作品を世界へ発信する視点を養う。
3. 授業内容(3日間 × 1日5コマ=計15コマ)
各日とも前半(講義・デモ)と後半(制作実習)に分け、1日の実習では単一の課題を通しで進めていきます。
【Day 1】Cinema4D基礎/ライティングと影の演出/ラインアニメーションの手法
<前半:講義・デモ>
- Cinema4DのUIと基本操作
- 画面構成やモデリングツールの使い方、ポリゴン編集の基礎
- ライティングによる影の演出
- ライトの種類・設定/影の描画オプション(ソフトシャドウ/エリアシャドウなど)
- ラインアニメーションの手法①
- スプラインを用いたライン表現、アニメーションの付け方
- ラインアニメーションの手法②/アイデア構築法
- 参考事例の紹介、形や動きのアイデアを発想するプロセス
- 簡易レンダリング設定
- 解像度、フレームレートなど初歩的なレンダリングの知識
<後半:制作実習 – 課題A「ラインアニメ×ライティングで魅せるシーン」>
- ラインアニメーションを中心に、影の出方や光の演出を工夫した短いアニメーションシーンを制作
- スプライン・ライト設定・カメラアングルを駆使し、シンプルでも印象的な作品を目指す
- 日終わりに全員分を講評し、2日目のMoGraph学習へ繋ぐためのフィードバック
【Day 2】MoGraph基礎/カメラの基礎&レンダリング/Redshift & Octane紹介
<前半:講義・デモ>
- MoGraph基礎①(Cloner / エフェクタ入門)
- Clonerオブジェクト、ランダムエフェクタ、ステップエフェクタの概要
- MoGraph基礎②(複数エフェクタの組み合わせ)
- タイムエフェクタ、フィールドの活用などアニメーションの応用
- カメラの基礎とレンダリング設定(発展)
- カメラワーク、複数カメラの切り替え、被写界深度の使い方
- ライティングと組み合わせた構図の魅せ方
- レンダーエンジン紹介:Redshift & Octane
- GPUレンダリングとCPUレンダリングの違い
- 簡易的な設定と表現力の差異デモ
- 高品位レンダリングで気をつけるポイント
- マテリアル設定の違い/ライティング手法の最適化/レンダリング時間の考え方
<後半:制作実習 – 課題B「MoGraphを活かしたインパクトあるシーン」>
- Clonerと各種エフェクタを活用して、動きのあるモーショングラフィックス的シーンを制作
- レンダーエンジン(標準 or Redshift/Octane)を試し、自分の作品に合う画質や表現を検討
- カメラワークを工夫し、前日のライティングノウハウを活かして魅力的な短編を仕上げる
【Day 3】観客視点 & プロジェクター視点/MadMapper投影/海外コンペレクチャー
<前半:講義・デモ>
- 観客視点 vs プロジェクター視点
- カメラを複数設置し、実空間で生じる歪みや影の違和感を3Dでシミュレーション
- ライティング応用(影の演出強化)
- プロジェクションマッピング時の光源設定/空間全体の雰囲気づくり
- MadMapper基礎①:UI / レイヤー / ワーピング
- Cinema4Dで書き出した映像をMadMapperへインポートし、投影面を調整するデモ
- MadMapper基礎②:マスキングと実機投影のポイント
- 正方形の箱を重ねたオブジェクトなどへの投影事例紹介
- 光量・解像度・投影ズレを補正する操作
- 海外コンペティションへの応募方法
- 主な映像祭・マッピング系コンペの概要、応募要件、審査基準
- 映像フォーマット、締切管理、審査員が見るポイントを解説
<後半:制作実習 – 課題C「MadMapper投影×海外応募を意識した最終作品」>
- 観客視点とプロジェクター視点を考慮したカメラセッティングを行い、MadMapperで実機投影をテスト
- 投影オブジェクトへの投影画角やワーピングを調整し、歪みや影の違和感を最小限に抑える
- 作品を海外コンペ応募を想定したフォーマットに仕上げ、最終発表・講評を実施
4. 準備学習等
- 特設サイトに掲載されるCinema4DやMadMapperの基礎チュートリアル、関連資料を事前に確認する。
- 実習では1日を通して1つの大きな課題に取り組むため、各自のペースで計画的に作業を進める。
- 質問や困りごとは随時メモしておき、実習中や講義後に積極的に教員や仲間へ相談する。
5. 成績評価の方法・基準
- 提出課題(70%)
- 3日間の実習課題(A・B・C)の完成度・独創性・理解度を総合的に評価
- 独自の工夫(20%)
- ラインアニメーション、MoGraph、カメラ・ライティング、レンダーエンジン活用などでの独自の発想や表現力
- 出席(10%)
- 講義・実習への参加状況と制作への取り組み姿勢
6. 教科書 / 参考図書
- Cinema4D公式ドキュメント
- 今回の講義のための特設サイト(操作ガイド、演習素材、フォーラムなど)
- Maxon公式「Cinema4Dチュートリアル」(MoGraph、Camera、Lighting、Redshiftなど)
- MadMapper公式チュートリアル
- 『Projection Mapping: Theory & Practice』(Routledge)
- レンダーエンジン(Redshift / Octane)公式オンラインリソース
7. 履修条件・注意事項
- Adobe Photoshop/Illustratorなど2Dソフトの基本操作が理解できると、作業がスムーズに進みます。
- 機材や会場の都合で内容が変更される可能性があります。講義の告知や教材配布は特設サイトで行うので、常に確認を行ってください。
- 実際の投影ではプロジェクターやスクリーン・オブジェクトの設置が必要となるため、後半の実習は慎重な準備と時間管理が大切です。
8. 授業の魅力と将来への活かし方
- 映像表現の最先端技術を学ぶ
- Cinema4D、レンダーエンジン(Redshift/Octane)、MadMapperなど業界標準ツールの使い方を基礎から習得。
- 空間演出・舞台演出への応用力
- ラインアニメーションやMoGraphを通じて培う映像デザイン力は、舞台やライブイベントでも大いに役立つ。
- 海外コンペで自分を試すチャンス
- 制作した作品を国際舞台に発信し、クリエイターとしてのキャリアアップを目指せる。
本シラバスを見て「なぜ学ぶのか」「何が身につくのか」が明確になり、未来に活かせるスキルを丁寧に学びたいと思った方は、ぜひこの講座を履修してください。初心者でも安心して挑戦できるステップアップ形式のカリキュラムで、新たな映像表現の扉を一緒に開きましょう。
