目次
前半:講義・デモ
- Cinema4DのUIと基本操作
- 画面構成やモデリングツールの使い方、ポリゴン編集の基礎
- ライティングによる影の演出
- ライトの種類・設定/影の描画オプション(ソフトシャドウ/エリアシャドウなど)
- ラインアニメーションの手法①
- スプラインを用いたライン表現、アニメーションの付け方
- ラインアニメーションの手法②/アイデア構築法
- 参考事例の紹介、形や動きのアイデアを発想するプロセス
- 簡易レンダリング設定
- 解像度、フレームレートなど初歩的なレンダリングの知識
後半:制作実習 – 課題A「ラインアニメ×ライティングで魅せるシーン」
- ラインアニメーションを中心に、影の出方や光の演出を工夫した短いアニメーションシーンを制作
- スプライン・ライト設定・カメラアングルを駆使し、シンプルでも印象的な作品を目指す
- 日終わりに全員分を講評し、2日目のMoGraph学習へ繋ぐためのフィードバック
Cinema4DのUIと基本操作
画面構成やモデリングツールの使い方、ポリゴン編集の基礎
| オブジェクトを移動 | E |
|---|---|
| オブジェクトを回転 | R |
| オブジェクトをスケール | T |
| オブジェクトを中央に表示 | O |
| 全体表示 | H |
| 回転 | Alt + 左ドラッグ |
|---|---|
| 移動 | Alt + 中ドラッグ |
| ズームイン / ズームアウト | Alt + 右ドラッグ |
ライティングによる影の演出
プロジェクションマッピングの表現の基本となる、Cinema 4Dの「影(シャドウ)」を使いこなしましょう。
Cinema 4Dには主に3つの影の種類があります。それぞれ「性格」が全く違うので、シーンに合わせて使い分ける必要があります。
シャドウマップ(ソフト)
シャドウマップはどんな影?
- 計算機が「影の地図(マップ)」を事前に作って貼り付ける方式です。
- 影のフチがぼやっとしていて、柔らかい印象になります。
シャドウマップのメリットは?
- レンダリング(書き出し)がとにかく速い!
- PCのスペックが低くてもサクサク動きます。
シャドウマップのデメリットは?
- 影の解像度(細かさ)が決まっているため、近づくと影がギザギザしたり、少し不自然に見えることがあります。
- 物理的に正しい影ではありません。
例えるなら
スプレーでふわっと黒いインクを吹き付けたような影。
レイトレース(ハード)
シャドウマップはどんな影?
- 光の線(レイ)を計算して、障害物に当たったら即「黒!」とする方式です。
- 影のフチに「ぼけ」が一切なく、カッターで切り取ったようにクッキリしています。
シャドウマップのメリットは?
- 輪郭が非常に正確です。
- シャドウマップよりは計算が必要ですが、次に紹介するエリアシャドウよりは速いです。
シャドウマップのデメリットは?
- 現実世界では、完全にフチがくっきりした影はほぼ存在しないため、CGっぽさ(作り物感)が出やすいです。
例えるなら
雲ひとつない真夏の直射日光の下でできる、濃くて硬い影。
エリアシャドウ
シャドウマップはどんな影?
- 光が「点」ではなく「面(エリア)」から出ている計算をします。
- 「物体に近い影はクッキリ、遠くなるほどボケていく」という、現実世界と同じ現象を再現できます。
シャドウマップのメリットは?
- 圧倒的にリアルで、美しい仕上がりになります。
- フォトリアルな作品を作りたいなら、基本はこれ一択です。
シャドウマップのデメリットは?
- 計算が重い(レンダリング時間が長い)です。
- PCへの負荷が高いため、試しレンダリングの時は注意が必要です。
例えるなら
撮影スタジオの大きな照明(ソフトボックス)や、曇り空の優しい光。
一目でわかる比較表
| 種類 | 見た目の特徴 | リアリティ | レンダリング時間 | おすすめの場面 |
| シャドウマップ | フチが柔らかい・均一 | △ 低め | 🚀 爆速 | テスト確認、遠景の背景 |
|---|---|---|---|---|
| レイトレース | フチがパキッと硬い | ◯ 普通 | 🚗 普通 | 宇宙空間、強い直射日光、モーショングラフィックス |
| エリア | 距離でボケ方が変わる | ⭐ 最高 | 🐢 遅い | リアルな静止画、商品CG、メインの被写体 |
ラインアニメーションの手法
スプラインラップを使ってスタンダードなラインアニメーションを作ろう!
「線」を使った演出には2つの王道アプローチがあります。 結論から言うと、「光るラインが伸びていく」ならスイープ、「矢印や複雑な物体が道に沿って動く」ならスプラインラップです。
線そのものを生み出すスイープ (Sweep)
何もないところから、チューブ状の立体を生み出します。
メリット(得意なこと)
- 「成長」アニメーションが最強:
- 「開始成長」「終了成長」というパラメータが最初からあるため、0%→100%のアニメーションが圧倒的に簡単です。
- PMでよくある「建物の輪郭を一筆書きで描く」演出はこれ一択です。
- 入り抜き(太さ調整)が楽:
- 「スケール」グラフを使えば、「始点と終点は細く、真ん中は太く」といった調整が直感的にできます。
- データが軽い:
- 必要な分だけ計算するので、PCへの負荷が比較的少ないです。
デメリット(苦手なこと)
- 断面が金太郎飴:
- 基本は「丸」や「四角」の断面がずっと続くだけです。「先頭だけ矢印の形」のようなことはできません。
ある物体を、線に沿ってぐにゃりと曲げるスプラインラップ (Spline Wrap)
既に作ってあるモデル(立方体や、矢印、電車など)を、無理やり線に沿わせて変形させる「デフォーマ(紫色のアイコン)」です。
メリット(得意なこと)
- どんな形でも走らせられる:
- ただのチューブではなく、「連続した矢印」や「鎖」、「キャタピラ」、**「複雑な模様の入った帯」**などをパスに沿って動かせます。
- テクスチャを流せる:
- 「オフセット」という値を動かすことで、道路の上を白線が流れるような、UV(模様)のアニメーションが得意です。
- 先頭の形状を作れる:
- 例えば「彗星」のように、先頭が球体で後ろが尾を引くような形状も、一つのモデルとして作ってあればそのまま曲げて走らせられます。
デメリット(苦手なこと)
- 準備がちょっと大変:
- 曲げる元のオブジェクトのポリゴン数(分割数)が少ないと、カクカクして綺麗に曲がりません。事前のメッシュ調整が必要です。
- 歪みやすい:
- 急カーブでモデルがペシャンコになったり、ねじれたりすることがあり、調整に少し慣れが必要です。
ラインアニメーションでどっちを使う?
- やりたいのは「光る線」が伸びる表現?
-
Yes 👉 「スイープ」を使いましょう。一番速くてキレイです。
- やりたいのは「>>>」のような矢印や、特定の柄が動く表現?
-
Yes 👉 **「スプラインラップ」**を使いましょう。
作り方ヒント: 細長い立方体を作り、分割数をたっぷり増やしてから、スプラインラップの子にします。
- 「彗星」のように、先頭に光る玉があって、後ろに軌跡が残る表現?
-
Yes 👉 合わせ技です!
- 光る玉:「スプラインに沿う(Align to Spline)」タグで動かす。
- 軌跡:「スイープ」で追いかけるように描画する。
